6.食品ロスを減らす取組

食品ロスを減らす取組を紹介します

食品ロスへの関心が世界で高まっています。各地で様々な減らす取組が行われていて、その一部を紹介します。紹介記事の出展や参考になりそうなサイトなども掲載しますので、関心をもたれた人は元情報のサイトを訪ねてください。

このサイトでは、「食品ロスを減らす取組」を、世界の取組、日本の取組、京都の取組に分けて紹介します。
6-1 食品ロスの削減に向けた世界の取組
6-2 食品ロスの削減に向けた日本の取組
6-3 食品ロスの削減に向けた京都の取組
(すべての図は、クリックしてもらうと拡大します)

国によって、機関によって「食品ロス」の定義が違う

まず、ややこしい問題ですが、「食品ロス」と言った場合、日本と世界(国際連合食糧農業機関)で定義が違います。そのことについては、「5.世界視野で食品ロスをみると」の「5.1食品ロス、食品廃棄物の定義」で紹介していますので、そちらをご覧ください。

国によっても定義が違い、世界の取組の紹介では「人が食べることができるのに捨てられる食品」を基本にしつつ、食品廃棄物全体を対象にした削減の取組も紹介しています。

6.1 食品ロスの削減に向けた世界の取組

食品ロスが大きく注目されるようになったのは

食品ロスの発生は決して新しい問題ではありませんが、削減に向けた世界的な取組としては、1960年代後半からのFAOによる「飢餓からの開放キャンペーン」があります。その後1974年にはイタリアのローマで第1回国連世界食糧会議が開催され、1978年以降、食料ロス防止行動計画を推進し、1990年代初めまでに250以上のプロジェクトが世界で実施されました。

その後も様々な取組が実施されましたが、大きく世界の注目を集めたのは2011年5月にドイツで開催された「Save Food」国際会議でしょう。そこで発表された「世界の食料ロスと食料廃棄(Global food losses and food waste-Extent,causes and prevention)」の報告内容が世界に衝撃を与えました。

 クリックすると拡大します(以下、同じ)。

全世界の食料生産の3分の1、13憶トンの食品が廃棄されている

2011年5月、FAOは「世界の食料ロスと食料廃棄」の中で、収穫から消費まで、フードチェーン全体で、人の消費のために生産された食料の3分の1が世界中で失われ、その量が1年で約13億トンになるとの調査報告を公開し、世界にこの問題の深刻さを伝えました。
その後、FAOは世界各地で国連機関などと協力して、Save Foodキャンペーンを推進しています。

SDG’s サミットの合意の達成期限まで10年

2015年9月、アメリカ・ニューヨークに開催された国連「持続可能な開発サミットSDGsサミット)」で、17の国際目標と、それぞれの目標に付随する169項目のターゲットが採択された。
食品ロスの削減に関係する目標とターゲットとしては、目標2「飢餓をゼロに」と、目標12「つくる責任、つかう責任」があります。それぞれに付随するターゲットとして、2.1「2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。」と、ターゲット12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。」があります。

この国際目標とターゲットの達成は、193の国連加盟国(当時)が合意したもので、その達成期限まであと10年です。活動を加速する必要があります。

ヨーロッパの国々の取組

国別で見ると、ヨーロッパの国々が熱心に食品ロスの削減に取り組んでいます。

欧州議会(EUヨーロッパ連合の立法機関)は2012年に食品廃棄物の発生抑制のための具体的行動をとるよう加盟各国に要請しました。2014年を「ヨーロッパ反食品廃棄物年」とし、2025年までに食品ロスの30%削減を加盟各国に提案しました。廃棄を避けるための期限表示と包装の適正化、フードバンク活動の優遇処置の実施などを求め、これを受け、各国で様々な消費者向け啓発キャンペーンや法制度の整備が行われました。

フランスの食品廃棄禁止法の制定

ヨーロッパ各国の取組は「啓発」にとどまらず、特色ある政策に発展しています。中でも2016年にフランスで施行された「食品廃棄禁止法」は、一定規模(売場面積400m2)以上のスーパーマーケットに、売れ残り食品の廃棄を禁じるなど、世界の注目を集めました。この法律は、エネルギー転換法第103条食品ロス関連条文という位置づけで、背景には2015年12月のパリ協定の採択があります。地球温暖化防止活動と食品ロス削減、プラごみ減量活動など、世界的な課題を一体のものとして進める姿勢が、ここから伺えます。

フランスの食品廃棄禁止法の特徴

フランスの食品廃棄禁止法の主な特徴は、スライドに記載していますが、先に紹介したSDG’sのターゲット(2030年までに1人当たり食料廃棄を半減)より削減目標の達成年を前倒ししています。具体的な取組として、売場面積400m2以上のスーパーマーケットへの売れ残り食品の廃棄を禁止し、違反した場合の罰則も設けています。さらに対策の優先順位を定めています。「食品ロスをそもそも発生させない」を最上位に、「人への提供」「家畜への提供」「コンポスト・堆肥化」などを定め、単に「リサイクルすればいい」という姿勢は採っていません。

食品廃棄への罰則だけでなく、フードバンクや慈善団体への寄付への税控除制度を整備し、捨てるより寄付した方が負担が少なくなる仕組みを設けています。

1日180食以上を提供するレストラン等に義務付けたドギーバッグも、名前のイメージが良くないようで「グルメバッグ」という名前で提供する店もあるようです。

2019年6月に出された国民議会に提出された「施行状況に関する報告」には、「食品廃棄との戦い」や「畑から皿までの廃棄を防止する政策の実施」など、印象深い言葉が盛り込まれています。

イタリアの食品廃棄禁止法の特徴

イタリアはフランスよりわずかに遅れて食品廃棄禁止法を制定・施行しました。ただし、フランスの法律を真似たのではなく、2003年の「社会的連帯のための食品分配に関する規定」施行など、イタリアは独自の取組を進めていました。

2016年の食品廃棄禁止法にしても、フランスと違い罰則はありません。寄附手続きの簡素化や税制上の優遇処置などで捨てるより寄付する方へと誘導しています。人が食べるための食品の回収を優先し、2016年以降の4年間でイタリア国内の食料の寄付は20%以上増えたとする試算があります。また食品だけでなく、医薬品も対象にしているところがイタリアの制度の特徴です。

イギリスの食品廃棄物削減の取組

イギリスは法律ではなく法規制ではなく、業界団体の自主ルールで食品廃棄物削減を推進しています。そのコーディネートはWRAP(Waste and Resources Action Program、2000年設立)というNPOが担っています。主要小売業、食品メーカーが参加するコートールド(公約)によって、食品廃棄物と食品包装の削減を進めています。

2005年以降、2~3年の期間の3段階を連続的に実施し成果をあげてきました。2016年からは第4段階に入り、売上シェア95%の食品小売業が参加し、8年かけて、①食品・飲料廃棄物の20%削減、②温暖化ガス排出量の20%削減、③水資源の受ける悪影響の削減の実現をめざしています。

民間団体の活動(フードバンクの活動)

フードバンクなど民間団体の活動では、アメリカが先行していました。1967年に最初のフードバンクがアリゾナ州で設立されました。きっかけは、ジョン・ヴァンヘンゲルという男性が,スーパーのごみ箱にまだ食べられる食品が多く捨てられていることを知り、スーパーと交渉して寄付を受け、集めた食品を教会の倉庫に預け,食料が必要な福祉施設の人たちが引き出すことができる仕組みを作ったことです。この活動を食料銀行と名づけ,世界初のフードバンクが誕生しました。その後フードバンクはアメリカ全州に200団体以上設立され、全国的なネットワークFeeding Americaが設立されました。

ヨーロッパには1984年フランスで初めてフードバンクが設立され、翌年にはフランス全体のネットワークが設立、1986年にはヨーロッパフードバンク連盟が設立されました。ヨーロッパのフードバンクはEUの食糧政策、貧困政策とともに発展を遂げてきましたが、2014年の欧州貧困援助基金の設立によって、食糧政策から貧困政策へのシフトが明確になったと言われています。

この傾向は、アメリカでも同じで、前述のFeeding Americaの設立目的にも「アメリカの貧困問題を解決へと導く」と掲げられていることからもわかります。

民間の活動(余剰食品を活用するアプリの普及)

レストランやスーパーなどで当日売れ残りそうな食品を、スマホを活用して安価に販売し、購入した消費者は指定された場所や時間に取りに行くものや、レストランやスーパーと消費者だけでなく、消費者間で、その日余分に作った料理の融通などができるアプリもあります。
このようなアプリが最近4~5年の間に世界中で開発され、多くの小売店や消費者に利用されています。

ここまでの参考文献・記事等 URLはいずれも2020.9.16閲覧
岩波祐子「フランスイタリアの食品ロス削減法‐2016年法の成果と課題」立法と調査,2019.10,No.416,pp319
渡辺達朗「食品ロス削減に関するフランスとイギリスにおける取り組み」専修ビジネス・レビュー,2018,Vol.13,No.1,pp1-11
三菱総研「平成21年度フードバンク活動実態調査報告書」
小関隆志「フランスにおける フードバンク活動」貧困研究会第8回研究大会(2015)報告より
農林水産省「海外におけるフードバンク活動の実態及び歴史的・社会的背景等に関する調査」
FAO「食料ロスと食料廃棄削減に向けた 地球規模の取り組み2012」
農林水産省「食べものに、もったいないを、もういちど。2014.10
公益社団法人日本冷凍空調学会「多目的なNPO 活動としてのフードバンク活動」
昭和産業(株)WEB 世界の食品ロス対策はどうなっている? 2019.4
HUFF POST News食べきれなかった料理を街の人とシェア。スペインの「連帯冷蔵庫」とは?
Fujitsu Journal食品ロスを減らす注目のフードシェアリングサービスとは?(前編)
Fujitsu Journal 食品ロスを減らす注目のフードシェアリングサービスとは?(後編)

6.2 食品ロスの削減に向けた日本の取組

2000年食品リサイクル法から、2019年食品ロス削減推進法律へ

日本では、「2.4家庭ごみ中の食品ごみをもっと深くみると(京都市の例から)」で紹介したように、京都市と京都大学が40年以上前から、家庭ごみ中の食品ごみの実態を調査し公開していました。特に手つかず食品ごみが世代や地域に関係なく排出されている実態など、多くの人にこの問題の深刻さを伝えるとともに、国内の多くの市民団体や行政による食品ロス啓発活動にこの調査結果を活用されました。

2000年「食品リサイクル法制定
国レベルの取組・政策としては、年間の食品廃棄物排出量2000100トン以上の事業者を対象に、食品リサイクル法が2000年に制定され、翌年から施行されました。それに関連して食品ロスに関する調査も行われるようになりました。
2002年から「食品循環資源の再生利用等実態調査」
2003年から「食品ロス統計調査」(2015年まで)
20102月「フードバンク活動実態調査報告書」公開

2000年以降、各地でフードバンク団体が設立される
農水省WEBサイトに、日本国内各地のフードバンク団体(74)が紹介されています。
最も早くから活動しているのは、2000年のセカンドハーベストジャパン(東京)で、次いで、2003年設立のフードバンク関西(兵庫県芦屋市)。最も多く設立された年は2016年で、19団体設立されました。

2017年、恵方巻の大量廃棄が問題に
食品リサイクル法の施行以降、食品産業で発生する食品廃棄物のリサイクルは盛んになりました。しかし食品廃棄物の発生そのものが減ったわけではありません。
特に2007年、スーパーやコンビニでの売れ残った恵方巻が大量に廃棄されている写真がネット上で拡散し、多くの人が食品ロス問題に注目しました。と同時に「出たごみをリサイクルする」だけでなく、そもそも食品ロスの発生そのものを防ぐことが社会課題として認識されるようになりました。

2019年「食品ロスの削減の推進に関する法律」制定
2019年には、「食品ロスの削減の推進に関する法律」が制定され、同年5月施行されました。食品ロスの削減がはっきりと社会課題に位置付けられたわけです。

食品ロス削減情報サイト

食品ロスの削減に関して、行政機関をはじめ、わかりやすく充実したサイトが開設されています。ぜひ下記サイトもご覧ください。

農林水産省 食品ロス・食品リサイクル
環境省 食品ロスポータルサイト
消費者庁 食べもののムダをなくそうプロジェクト
京都市 食品ロスゼロプロジェクト

おいしいふくい食べきり運動

行政が中心となって、域内の飲食店や企業、市民団体と一緒に推進している活動として、2006年から福井県が中心になり県内の市町村とともに推進している「おいしいふくい食べきり運動」を紹介します。地元の食材を使った、食べきりメニューの提供や、食べきれなかった料理の持ち帰りができるなど、900店以上の飲食店やホテルなどが運動に参加しています。家庭に向けては、余った食材を使った調理法の紹介などを通じて、県民、飲食店、県・市町村あげて食品ロスの削減に取り組んでいます。

おいしい食べきり運動の広がり

 おいしいふくい食べきり運動の成果は全国へと広まりました。
2016年3月に福井県で第10回3R推進全国大会が開催されました。全国の自治体関係者が集い、それぞれが食品ごみ、食べ残しの削減に取り組んでいることから、共通の課題として全国的なネットワークの必要性を感じ、 食品ロスを削減することを目的として設立された自治体間のネットワークとして、全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会が、2016年10月に設立されました。
事務局は、おいしいふくい食べきり運動の実績のある福井県安全環境部循環社会推進課が担当し、全国すべての都道府県と362の市区町村が加盟しています(2019.11現在)。

全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会

各地の取組(自治体の取組)

食品ロスの削減をめざす法律ができたこともあり、各地で、県、市区町村での啓発や、地域住民を巻き込んだ運動が盛んになっています。

日本でのフードバンク運動

一般社団法人全国フードバンク推進協議会
 フードバンクなどに取り組む活動団体のネットワーク(https://www.fb-kyougikai.net/)で、豪雨災害の被災地支援にも取り組んでいます。加盟団体は33で、農水省のリストに掲載された団体より少ないのですが、各団体の詳細な活動内容が紹介されています。全国フードバンク推進協議会は、以下のビジョンとミッションを掲げています。

ビジョン
フードバンク活動の推進を通して、食品ロス削減子どもの貧困問題が解決される社会を目指します。
ミッション
国内フードバンク団体が抱える課題を共有し、解決を目指します。フードバンクを取り巻く社会的環境整備を行い、日本にフードバンク活動が根付くよう推進します。

企業の商慣習の見直し
「3分の1ルール」から「2分の1ルール」へ

加工食品の場合、賞味期限や消費期限といった表示があります。賞味期限は長期保存が可能な加工食品(飲料含む)に表示され、「おいしく食べることが期限」を意味します。消費期限は劣化の早い食品に表示されます。弁当や総菜、サンドイッチ、ケーキ、精肉、生牡蠣、カット野菜などが対象です。
賞味期限の場合、期限を過ぎたら「食べられなくなる」わけではありませんが、食品メーカーや販売事業者は、この期日をとても気にします。そこで生まれたのが「3分の1ルール」。例えば製造から賞味期限まで6ヵ月ある加工食品の場合、製造から2ヵ月以内に、卸売業者を経て販売店への納品が求められます(納品期限)。販売店では賞味期限まで残り2ヵ月までに販売します(販売期限)。つまり賞味期限の全期間のうち、3分の1の2ヵ月を残して販売終了となり、この時点で売れ残った食品のほとんどが卸売業者や食品メーカーに返品され、その大部分が廃棄されます(各期限の設定は、あくまで商慣習であり、法律等で決められているわけではありません)

この点、アメリカでは「2分の1ルール」といって、食品メーカーから販売店への納品は賞味期限の全期間の半分。上記の例なら製造から3ヵ月以内の納品で済み、販売期限は小売店が判断しています。ヨーロッパには「3分の2ルール」を採っている国もあります。日本でも「2分の1ルール」を適用しようと、一部の食品メーカーやスーパーと、行政機関が協力して実験をしています。

以下は、食品リサイクル法と食品ロス削減推進法の概要を紹介したものです。

6.3 食品ロスの削減に向けた京都の取組

食品ロスの削減に取り組む京都の団体

京都市内にも食品ロス削減に自発的に取り組む市民団体があります。2015年5月から活動に取り組むフードバンク京都や、同年12月から活動を始めたNPO法人セカンドハーベスト京都などです。

京都市ごみ減量推進会議(このサイトの運営者)は、おもに京都市内でごみ減量活動に取り組む市民団体や企業に対し活動助成を行っていて(https://kyoto-gomigen.jp/works/index_36.html)、2018年度と2019年度の2回、NPO法人セカンドハーベスト京都のフードドライブ事業に助成をいたしました。その時の活動レポートを紹介します。

2019年度 “なくそう!食品ロス”キャンペーン

2018年度 フードドライブレポートその1

2018年度 フードドライブレポートその2

 

京都市が呼びかける市民が取り組めること

京都市は、京都市食品ロスプロジェクト(http://sukkiri-kyoto.com/)を掲げ、市民向け、事業者向けにわかりやすく情報提供ををしています。

市民向け情報としては、食品ロスを出さないため「買い物のとき」「調理のとき」「保存のとき」にできる取組の紹介や、外食のときに役立つ「食べ残しゼロ推奨店」の案内をしています(http://sukkiri-kyoto.com/shimin)。

事業者向けには、「販売期間の延長」や「フードバンク団体への寄付」「食べ残し・お持ち帰り納品推進」などを呼びかけています。

「食べ残しゼロ推奨店」への参加店舗は、飲食店・宿泊施設で京都市内1,000店以上になり、食品小売店で500店になります。

この中で、食品ロス削減のために、市民の皆さんが取り組むことができる活動提案として、「30・10(サーティ・テン)運動」があります。特に忘年会、新年会シーズンに取り組んでいただきたい取組です。「1.乾杯後30分間は,席を立たずに料理を楽しみ,2.終了前10分間は,自分の席に戻って再度料理を楽しむ」を実践する取組です。
他にも多くの役立つ情報がありますので、ぜひご覧ください。

ごみ減の食品ロス関連情報
1.食品ロスの基礎知識
2.食品ロスと環境問題
3.食品ロスを身近に感じる伝え方
4.どんな食べ物を捨てているか
5.世界視野で「食品ロス」をみると
6.食品ロスを減らす取組